FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

NOWHERE TO HIDE/CARLENE THOMPSON

Nowhere to Hide

Nowhere to Hide

 カーリーン・トンプスンは、早川書房ハヤカワ・ポケット・ミステリから『黒い蘭の追憶』と『殺しの歌が聞こえる』の二冊が邦訳として出版されている。邦訳、洋書をともに読んでいて思うのだが、このカーリーン・トンプスン、作品の出来不出来の差が比較的激しい作家で、『黒い蘭の追憶』は間違いなく傑作、『殺しの歌が聞こえる』はまあまあ面白いと言ったところ。
 この゛NOWHERE TO HIDE゛は微妙な作品である。
 メリッサの眼前で、親友にして婚約者エリックの妹グレッチェンが教会から墜死した。落したのは、ディリオンという青年。しかしメリッサの目撃だけでは有力な証拠とはされず、ディリオンは逮捕されず、そのまま行方をくらました。
 四年半後、メリッサは地元の新聞社のレポーターになっていた。ある雪の夜、メリッサの車が大破しかけた。それを皮切りに、かつてのグレッチェンやディリオンの関係者が次々と殺されていく。彼らの元へはディリオンからと思しきメッセージが届いているのだった。
 読んでいて想像したのは、B級ホラー映画。「伝説の殺人鬼が町に帰って来た……!?→ヒロインの周囲の人間が次々と殺されていく→ヒロインにも危機が迫る→しかし実際に人を殺して回っていたのは、**でした」というタイプのそれ。
 読んでいる最中にはそれなりにハラハラできるが、犯人が分かり、その「哀しいお話」を延々と聞かされると、聞くと、ちょっと気分が萎える。

黒い蘭の追憶 (ハヤカワ ポケット ミステリ)

黒い蘭の追憶 (ハヤカワ ポケット ミステリ)

殺しの歌が聞こえる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

殺しの歌が聞こえる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)