FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH/清水崇監督

 「世界最長お化け屋敷として知られる富士急ハイランドの人気アトラクション“戦慄迷宮”とのコラボレーションで贈る実写デジタル3Dによる体感型サスペンス・ホラー」なのだが、当方はDVDを家で見て、しかも富士急ハイランドに行ったことがないので、情けなくも「体感型サスペンス」の「体感型」の部分については語る口がない。
 しかし、「お化け屋敷」もののホラー映画として見たとき、そこそこ面白かった。たまたまこれ以前、同じく「お化け屋敷」もののトビー・フーパー監督『ファンハウス/惨劇の館』を見たのだが、それよりもずっといい。
十年ぶりに故郷の町に戻ってきたケンは、今警察の取り調べを受けている。刑事達の奇妙な視線を受けながら。
 彼は語る。十年前、幼かった頃、友人達五人とともにお化け屋敷『戦慄迷宮』に足を踏み入れたことを。そしてつい先日、ケンが町に戻ったとき、友人達との間で起きた出来事を。
 ケンは十年ぶりに故郷へと戻ってきた。母が亡くなったからは、ずっと離れていた土地だ。幼馴染のモトキ、モトキの婚約者で、盲目のリンに迎え入れられる。
 そんなとき、彼らを訪ねてきた女性が現れ、一同は愕然とする。彼女はユキと名乗ったからだ。ユキとは、子供だった彼らが大人の目を盗んで『戦慄迷宮』に忍び込んだとき、彼らとはぐれ、そのまま行方不明となっていた友人だった。すっかり大人の女性へと成長している。
 ちなみに『戦慄迷宮』にはユキの妹、ミユも一緒に忍び込んでおり、ユキが神隠しに遭ったのちは、姉妹の母は発狂している。
 ミユと落ち合ったのち、彼らは頭を打って具合の悪そうなユキ(と名乗る女性)を病院に運び込む。
 だがこの病院、なにかが変だ。そして、彼ら全員の中でおぼろげだった、十年前の記憶が少しずつはっきりとしていく。
 幾度となく映し出される螺旋階段が醸し出す不安な感じ、過去と現在が溶けあっていくストーリー展開、おぞましい病院をモチーフとした「戦慄迷宮」が発する恐怖とあいまい、なかなかの佳作となっている。
 ただ一つ、無理があるな、と思ったのは、「両親がミユに真実を告げていない」こと。
 いくら当時の年齢が幼いとは言え、こんなことはありえないだろう。仮に当時はそうだったとしても、大人になってからは、誰かが話すはずである。
 こういった不自然な点があるとは言え、女の情念漂う、良きホラー映画。

ファンハウス 惨劇の館 [DVD]

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↑面白いのだが、前半がかったるい