FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

1/2の埋葬/ピーター・ジェイムズ

1/2の埋葬 上 (RHブックス・プラス)

1/2の埋葬 上 (RHブックス・プラス)

1/2の埋葬 下 (ランダムハウス講談社文庫)

1/2の埋葬 下 (ランダムハウス講談社文庫)

 作者ピーター・ジェイムズは、そうは書いていないものの、著者略歴が似通っているところから、かつて角川ホラーから『ポゼッション』や『ドリーマー』、角川文庫から『ホスト』を出していたピーター・ジェイムズと同一人物だと思われる。
 目が覚めたら土中の柩の中。まったく訳がわからない。携帯電話が置いてあり、それで助けを求めるもののなかなかうまくいかず、落ちてくるものや咽の渇きに苦しめられている……と言えば、スペイン映画の秀作ロドリコ・コルテス監督『[リミット]』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20110510)が思い出される。
 しかし、あの映画が柩の中だけを舞台にしていたのに対し、この『1/2の埋葬』は生き埋めの事件を知った警察の捜索、そして事件の裏に隠された陰謀も描かれる。
 結婚式前夜。花婿の友人たちは、花婿マイケルに対し、ちょっとした悪戯をほどこした。その悪戯はぐてんぐでんに酔っぱらった花婿を柩ごと土中に埋めること。数時間で出してやるつもりだったから、それは笑い話で終わるはずだった。だが、笑い話どころではなくなった。花婿を埋めた直後、事情を知っている友人全員が事故で亡くなり、この「ジョーク」の存在を知るものがいなくなったからだ。
 一方、柩の中で目覚めたマイケルは愕然とする。柩の中にあったトランシーバーを使っても、出てくるのは知的障害の男性のみ。どうやらマイケルの友人が落としたトランシーバーを拾ったらしい。
 脱出を試みるもののうまくいかず、やがてマイケルは次第に追い詰められていく。
 なかなかよくできたサスペンス。途中から事故に気付き、捜査を始めるロイ・グレイス警視もユニークだ。才能ある警察官でありながら、オカルトにも理解を示し、妻が失踪したのちは金魚マーロンが唯一の友人という男性である。
 すでにシリーズ第二作『会員制殺人サイト』が当時のランダムハウス講談社が出版されている。

ポゼッション (角川ホラー文庫)

ポゼッション (角川ホラー文庫)

ドリーマー (角川ホラー文庫)

ドリーマー (角川ホラー文庫)

↑この二冊は地味ながら面白かった記憶あり
ホスト〈上〉 (角川文庫)

ホスト〈上〉 (角川文庫)

ホスト〈下〉 (角川文庫)

ホスト〈下〉 (角川文庫)

↑恥ずかしながら未読
[リミット] コレクターズ・エディション [DVD]

[リミット] コレクターズ・エディション [DVD]

↑ミステリ映画が好きならぜひの傑作