死を騙る男/インガー・アッシュ・ウルフ
- 作者: インガー・アッシュ・ウルフ,藤倉秀彦
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/01/27
- メディア: 文庫
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可もなく不可もなく。文章の磨かれた美しさを除けば、取り立てて言うことのない警察小説だった。比較的年のいった女性警察官(六十一歳)を主人公にしているので、なにかその点で面白い要素があるか、と期待したが、あまりなかった。強いて言えば、ヒロインよりもはるかにパワフルなヒロインの母親(元町長)が多少良かったぐらい。
カナダの小さな町ポート・ダンダス。癌などの病苦で、死期の近い人々を次々と手にかける殺人鬼の暗躍は、この町から始まった。犯人の名前と行動は、最初から読者に明かされている。だが、なんのために。
そしてポート・ダンダス署署長代理のヘイゼル・ミケイリフ警部補と殺人鬼との対決の幕があがる。
作者はある純文学作家の変名とのこと。文章力がありそうなわりに、エンターテイメントとしてお話が今一つ盛り上がらずに終わるのは、そのせいだろうか。