魔女の館/シャーロット・アームストロング
- 作者: シャーロット・アームストロング,近藤麻里子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/12/18
- メディア: 文庫
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アームストロングの一つの到達点。この先、邦訳や新訳作品がどれほど出版されたとしても、この『魔女の館』を超えることはなかなかできないのではないだろうか(むろんこれ以上の作品が出てくれれば、作者のファンとして素直に嬉しい)。
『風船を売る男』と同様、健康的な若い女性がヒロインの一人だが、悪役は『風船を売る男』よりも、悪辣で印象深い。ヒロインの夫を監禁する狂気の老女ではなく、ヒロインの行く手を遮ろうと画策する双子の兄妹のことだ。彼らの近親相姦めいた、爛れた関係は、快活な良妻賢母たるヒロインと好対照をなしている。
若き大学講師パットは、同僚アダムズの不正が許せず、彼を追った。問い詰め、逆襲されるものの、一命はとりとめた。それもひどく異様な形で。手傷を負った彼は、パットを死んだ息子だと信じる、老いた狂女によって監禁されることとなったのだ。
一方パットの妻、アナベルは行方の分からない夫を心底案じ、行動に出た。警察も大学もあてにならなかった。ならば自分の力で夫を探すほかない。アダムズも失踪しており、アダムズの娘ヴァイオレットも父を心配していた。アダムズの後妻セリアと、その双子の兄セシルは、それぞれの家族を探す女性達をひんやりとした目で眺めていた。
古典的なサスペンスの魅力がたっぷりと詰まった一冊。
かつてはトパーズプレス<シリーズ百年の物語>の一巻として刊行されていた作品が、創元推理文庫として出版され、手に取りやすくなった。良いことだ。次は東京創元社クライム・クラブで出ていた『夢を喰う女』を改訳、出版してくれないものだろうか。ハヤカワ・ミステリに入っている『疑われざる者』も改訳して出してくれたら、もっと嬉しい。
- 作者: シャーロット・アームストロング,近藤麻里子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
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- 作者: シャーロットアームストロング,Charlotte Armstrong,森茂里
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- 作者: シャーロットアームストロング,Charlotte Armstrong,衣更着信
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夢を喰う女 (1958年) (Crime club〈第8〉)
- 作者: シャーロット・アームストロング,林房雄
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1958
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