FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

愛はジャスミンの香り/スーザン・エリザベス・フィリップス

愛はジャスミンの香り (MIRA文庫 SP 1-1)

愛はジャスミンの香り (MIRA文庫 SP 1-1)

  • 作者: スーザン・エリザベス・フィリップス,細郷妙子
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫
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 南北戦争直後のアメリカ合衆国サウスカロライナを舞台にしたヒストリカルロマンス。マーガレット・ミッチェル風と共に去りぬ』の世界である。
 継母に嫌われ、実の父親にも愛されず育った南部の令嬢キャサリン。彼女が愛し、執着したのは実家の美しい農園だった。だが継母の死後、農園が委ねられたのが継母の実の息子バロン・ケインだと知ったキャサリンは男装し、馬丁の少年として彼に近付く。だが義妹だとばれたあとは、バロンはキャサリンを一人前の淑女にするため、名門の女学院へと放り込んだ。数年後、女学院を卒業したキャサリンは、野生児のような少女から、一人の妖艶で、情熱的な女性へと変貌していた。
 キャサリンとバロンの間には愛が芽生えるが、考えの違い(前述の通り、キャサリンは南部出身、バロンは元北軍の英雄)や、互いの強すぎる個性ゆえ、恋路は極めて難しいものとなる。
 作者のヒストリカルロマンスを読むのは初めてなのだが、滅法面白かった。キャサリンと友情を結んでいる使用人ソフローニアや、ソフローニアを愛するバロンの戦友マグナス、バロンに接近する未亡人ベロニカや、南部の敗北が受け入れられず、頭の螺子の緩んでしまったキャサリンの付添役の女性ミス・ドリーなど、脇役も存在感抜群。ヒロインのある犯罪行為には引いたが、最後の最後まで緊張感が緩むことのないストーリー展開は見事。
 波瀾万丈の傑作。

風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

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