殺す手紙/ポール・アルテ
殺す手紙〔ハヤカワ・ミステリ1840〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリー)
- 作者: ポール・アルテ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/10/08
- メディア: 新書
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シンプル。しかし面白かった!
訳者によるあとがきで、スパイ小説たるケン・フォレット『針の眼』に影響を受けているとあったので、スパイ小説が苦手な当方はどうしようかと思ったが、読んで正解だった。
密室不可能犯罪ばかりではなく、サスペンスを書かせてもうまい作家なのだと、感じた。
妻を空襲で失った心の痛みを抱える元英国諜報部員ラルフ。彼はつい先ほど別れたばかりの親友フィリップから手紙を受け取り、首を傾げる。フィリップが狂ったかと思いいつつも彼はフィリップの手紙通りに振る舞い、ある家で開かれていた奇妙なパーティーに足を踏み入れることとなる。そこで彼は、亡くなった妻そっくりの女性と会い、仰天する。そして殺人事件が発生する。被害者は、彼がよく知っている(はず)の人間だった。
決してページ数が多い作品ではないのだが、物語が進むテンポが速く、要所要所で小さな意外性が読者の前に突きつけられ、飽きない。とどめの一撃も良かった。
これまでの作品とは印象が随分違うので、ポール・アルテ初心者にはどうかと思うのだが、従来通りのファン、そして小粋なサスペンスが好きな読者には薦められる作品。