FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

陸軍士官学校の死/ルイス・ベイヤード

陸軍士官学校の死 上 (創元推理文庫)

陸軍士官学校の死 上 (創元推理文庫)

 これはなんの予備知識もなく読みたかった!
 読む前に、「結末が予想外」という情報を得てしまったため、かえって予想がついて、うまく驚くことができなかった。我ながら残念だと思う。
 一八三〇年、アメリカ合衆国。引退した名警官ガス・ランダー。彼はウエストポイント陸軍士官学校における奇怪な殺人事件の話を聞かされ、調査に乗り出すこととなる。奇怪な殺人事件とは生徒の一人が首を吊った上、その心臓が抉られ、持ち去られたのだ。
 そして陸軍士官学校を襲った死は一つでは終わらなかった。
 ランダーは陸軍士官学校で知り合った、詩人にして学校の一年生の生徒エドガー・アラン・ポーを助手に据える。単なる探偵と助手という枠を超え、友情を育む二人だが、ポーが容疑者の一人の姉の虜となったあたりから、殺人事件の調査も友情も難しい方角へと転がり出していた。
 事前にヒントを与えられると、察しがついてしまう結末ながら、読みやすさは抜群。ポーのファンである人もない人も楽しめる出来。歴史ものの本格ミステリとして、そこそこ面白い。

陸軍士官学校の死 下 (創元推理文庫)

陸軍士官学校の死 下 (創元推理文庫)