FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

デス・ロード 鮮血/グレゴリー・ジェイムズ監督

 邦題に「鮮血」の文字が入っているが、血はほとんど出てこないホラー映画。凍死体はそこそこ出てくる。
 クリスマスを控えたアメリカ。ヒロインの女子大生は、旅費を浮かすために、大学の掲示板で同郷の同乗者を募集していた青年の車に乗り込んだ。だがこの青年、どうも怪しい。初対面のはずなのに、ヒロインのことを色々と知っている。同じ故郷の出身のはずなのに、その土地についての知識が誤っている。次第に不信感を抱き始めたところで、青年はヒロインを乗せたまま、本来なら入るはずのない道へと入り込んだ。ヒロインの抗議を無視して。
 そこからが本当の恐怖の始まりだった。吹雪が荒れ狂う極寒の山道で、二人は事故に巻き込まれる。連絡を取る手段は断たれ、ヒロインと青年を空腹と、なにより寒さが襲う。雪とあまりにも低い気温のため、ほとんど動きが取れず、生き伸びるためには車という密室の中にいなくてはいけない。
 この二人の前に、不気味な人影が幾つも現れる。ヒロインと青年の声は聞こえているはずなのに、こちらを振り向きもしない僧侶達。救助に来てくれたのだとばかり思っていた警官は凶暴さをむき出しにし、逆にヒロインと青年を脅しつける。
 夜が明けさえすれば、本当の助けが現れる。そう信じて、二人は様々な脅威を耐え抜こうとする。
 B級と言えばB級だが、寒さという現実的な恐怖と、人間に見えるが、人ならぬ力を持つ不気味な存在たちという超自然的な恐怖の二重奏が効いており、まあまあ面白い。
 特別強い印象を残す作品ではないかもしれないが、値段分はしっかりと楽しませてくれる誠実さを感じさせてくれる。