マジック/リチャード・アッテンボロー監督
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アンソニー・ホプキンズが若い!そして実に役にはまっている。
そしてファッツが怖い。口を聞いている様子はそれほどでもないのだが、彼が口をつぐんだまま目だけを動かす幾つかの場面が、やけに怖い。
才能はありながらも売れないマジシャンだったコーキー。しかし腹話術人形ファッツとともに舞台に立ったときから、スターへの道が開けた。敏腕エージェント、ベンの働きもあり、テレビ出演も決まった。だが輝かしいかもしれない未来へのおののきと、ベンとの意見の食い違いから、コーキーの足は故郷たる田舎町と向けられた。故郷には家族はもういない。だが、高校生の頃に恋い焦がれていたペギーはいた。相変わらず美しい彼女は、結婚生活に疲れた人妻となっていた。やがて二人は深い関係に陥っていく。
だが束の間の幸福は、破滅への前兆だった。
コーキーはファッツを黙らせることはできなくなっていた。コーキーがファッツと二人だけでいるときも、ペギーの前でも、ベンの前でも。そればかりが、ファッツはコーキーに罪を唆し、彼はおぞましい犯罪に手を染めることとなるのだ。
ジェームズ・ワン監督『デッド・サイレンス』を見たとき、
「ホラー映画と腹話術師って相性がいいんだな」
と思っていたが、この映画を見てさらにその印象が強まった。
恐ろしくも哀感漂うエンディングも、この映画を締めるのにまさしくぴったりのものだった。
とてもシンプルで、無駄な箇所は一つもなし。これほどうまく人形を使ったホラー映画はなかなか見当たらない。
紛れもなく傑作。
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