スペル／サム・ライミ監督

スペル コレクターズ・エディション [DVD]

　テーマを「呪い」一本に絞り、力技で押して、押して、押して、押して、最後にちょっとしたひねった、いいエンターテイメントだった。
　銀行で働くクリスティン。もしかしたら昇進できるかもしれない段階にいた彼女は、不潔な老婆から不動産ローンの延長を懇願されるものの、思いきって跳ね付ける。老婆は呪詛の言葉を残し、クリスティンの眼前から消える。その晩、駐車場でクリスティンは当の老女から襲撃を受ける。それが思いもよらなかった惨劇の始まりだった。
　老女から地獄に堕とされる呪いをかけられたクリスティンは、三日間という決められた時間の中で、必死に対抗策を練る。だが、あの手もこの手も効かないのだ。
　ハウメ・コジェ=セラ監督『エスター』の細かなエピソードを積み重ねて、じわじわ恐怖を煽る作品もいいが、こういう直球の映画もまた楽しい。
　ただ最後に一つ疑問点が。このオチだと、「ボタンの持ち主」は「クリスティンじゃなくて恋人で、恋人に呪いがふりかかる」ことにならないだろうか。

エスター [DVD]