FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

億万長者の殺し方教えます/ナンシー・マーティン

億万長者の殺し方教えます―ブラックバード姉妹の事件簿 (イソラ文庫)

億万長者の殺し方教えます―ブラックバード姉妹の事件簿 (イソラ文庫)

 元富豪のヒロインが落ちぶれ、家屋敷や生活のために働き、思わぬ事件とロマンスに遭遇する……キャロライン・ヘインズのダリアハウスのシリーズの似てるなあと思う。もっともこちらのシリーズの方がコミカルである。
 ノラ・ブラックバードフィラデルフィア屈指の名門の令嬢、だった。いまや家は落ちぶれ、両親は脱税し、後始末のすべてを子供達に押しつけて自分達は海外へとトンズラ(居場所は分かっているのに、よく両親を追いかけてボコボコにしなかったものである)。後始末のほとんどを押しつけられたのは、三姉妹の中で中でもっともしっかりもの見られた次女のノラ。滞納されている税金のため、ノラは知人のつてを頼って新聞記者として働き始める。しかし取材のために訪れたパーティーで、就職の世話をしてくれた老大富豪の死体を発見、被害者のため、そして殺人の嫌疑をかけられた友人のため、ノラは独自の調査を始める。そんな彼女になにかと絡んでくるのは、<ミックのマッスルカー>を経営するマイケル・アブルッゾだった。
 三姉妹もキャラクターもよく立っており、コージーが好き、ロマンス小説もお好きという方には勧められる。これでライバルの位置づけにある上司のキティがもっと登場すれば良かった。もっとも、尾崎豊じゃないが「盗んだバイクで走り出す」(作中では車だったけどさ)ような少年時代を地で行き、某施設に叩き込まれるような元不良で、現在も暗黒街と繋がりがあるのではないかと噂されるヒーローが平気だと言うならば、である。
当方はこのタイプが好きでないので、二巻は様子見である。ヒーローがもう少し違うキャラクター造形をしていたならば、二巻は買っていた。

ダリアハウスの陽気な幽霊 (創元推理文庫)

ダリアハウスの陽気な幽霊 (創元推理文庫)

↑こちらも愉快なシリーズ