FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

死者の部屋/フランク・ティリエ

死者の部屋 (新潮文庫)

死者の部屋 (新潮文庫)

 フランス産サイコサスペンス。
 失業者二人組が車ではね殺した男は、バッグに大金を抱え込んでいた。幼い娘を誘拐された父親で、大金は彼女のための身代金だったのだ。失業者二人組は父親の死体を始末した上で大金を持ち去り、幼い娘は殺され、誘拐者でもあった狂気の殺人鬼は、他の獲物を求めてさ迷いだす。
 彼らと対峙するのは、産休明けの巡査長リューシー。双生児の娘を持つシングルマザー。趣味は犯罪学やプロファイリングの本を読むことで、夢はサイコパスの凶悪犯と対決すること。本書の件で夢がかなったね、おめでとうリューシー(と言っていいのか)
 大金を手にした失業者二人の更なる転落、殺人鬼の凶行、そしてリューシー含むダンケルク中央警察署の警察官達の必死の捜査、という三つのプロットが同時に進行していていくが、どれも手抜かりなくまとまっている。
 際立った個性は感じさせいなものの、犯罪小説好きにはそこそこお勧めできるサスペンス。