死は万病を癒す薬/レジナルド・ヒル
死は万病を癒す薬(ハヤカワ・ミステリ1830) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
- 作者: レジナルド・ヒル,松下祥子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/11/06
- メディア: 新書
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才能ある作家が円熟期に書いた、人気シリーズの中の一作。それ以上でもそれ以下でもない。つまりは、ある水準まで当然のように面白いということである。
「休暇中の名探偵が出くわす、リゾート地での殺人事件。しかも地元の名門一族が大きく絡んでいる」という手垢にまみれた題材を、ヒルは楽しげに美味しい料理に仕上げている。
前作で九死に一生を得たダルジール。ヨークシャーは東海岸、サンディタウンにある大規模な療養所アヴァロンで入院生活を迎えることとなった。強烈な個性と莫大な富を持つ老女ダフネを巡り、周囲の人間関係は軋み音を立てていた。やがて殺人事件が発生する。
死体に加えられた装飾がかなりグロテスクなのでぎょっとするが、レジナルド・ヒルなので読める。正直に言ってフラニー・ルートはもう出てこなくていいと思うが、この調子だとまだまだ次の巻以降もひっかきまわしてくれるのだろう。
二〇一〇年には、四十周年(すごい!)を迎える<ダルジール&パスコー>シリーズの最新刊である。相変わらず堪能しました。