FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

今日のゴシック

リヴァトン館

リヴァトン館

 現在読書中の本は、ケイト・モートン『リヴァトン館』である。色々と複雑な感想を抱きながら読んでいる本だが、著者解題にとてもいい言葉があったから、思わず書き出してしまった。


 過去につきまとわれる現在。家族の秘密へのこだわり。抑圧された記憶の再生、継承(物質的、心理的、肉体的な)の重要性。幽霊屋敷(とりわけ象徴的なものが出没する屋敷)。新しいテクノロジーや移ろいゆく秩序に対する不信感。女性にとって閉鎖的な環境(物理的にも社会的にも)とそれに伴う閉所恐怖。裏表のあるキャラクター。記憶は信用ならないこと、偏向した歴史としての性格を帯びること。謎と目に見えないもの。告白的な語り。伏線の張られたテクスト。


 ケイト・モートン『リヴァトン館』がこれらを的確に有しているかどうかは読了するまで分からないが、こういった要素こそまさにゴシック!