FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

呪怨 パンデミック/清水崇監督

 ビデオ版『呪怨』を見て、ハリウッド・リメイクたる『THE JUON/呪怨』も見て、これを見て、もう伽耶子と俊雄の存在に慣れてしまったのかもしれない。「一見どれほど無関係に見えようが、結局はしまいにはみんな伽耶子に殺されるんだろうな」などという身も蓋もない考えを抱きながら見た。そこそこ楽しめるのだが、やはりちょっとインパクトは薄れてきたような気がする。
 悪ふざけで幽霊屋敷と噂される廃屋に足を踏み入れた、東京のインターナショナル・スクールに通う女子高生三人組。姉のカレンが日本で奇妙な事件に巻き込まれ、入院したと知り、カリフォルニアから海を渡って姉の元へと向かうオーブリー。そしてシカゴのあるアパートメントで家族で暮らす幼い少年。彼は父の再婚相手に馴染むことができず、やや淋しい日々を送っていた。彼らの上にふりかかる惨劇のすべての中心にいるのは、強い怨念を抱いて死んだ伽耶子という女と、(映画版では)やはり非業の死を遂げた、その幼い息子の俊雄。彼らの悪意はもはや日本の廃屋にはとどまっていなかった。
 キム・ソンホ監督『Mirror 鏡の中』とそのハリウッドリメイクたるアレクサンドル・アジャ監督『ミラーズ』を見比べて抱いた感想なのだが、悪は「個人的ななにか」である方が怖いときもある。今回、伽耶子の出生の秘密が明かされ、「なぜ彼女がここまで強い悪霊たりえたのか」の説明がなされるのだが、個人的にはこの設定はいらなかった(最初はなかったのだが、続編が作られるにつれ、後からくっつけたのかもしれない)。この設定により、彼女は壮大ではあるものの、ありふれた存在になってしまった。
 一作目『呪怨』ほどの印象や面白さや新鮮味は感じられないが、そこそこ面白い。