ヘッケルの死霊/ジョン・マクノートン監督
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2006/10/27
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ホラーの巨匠たちが自らメガフォンをとり競作する全13回のホラー・アンソロジー・プログラム、『マスターズ・オブ・ホラー』第一段の中の作品。DVDでは、トビー・フーパー監督『ダンス・オブ・ザ・デッド』とともに収録されている。
原作はクライヴ・バーカーだが未読。どこで読んだのか忘れたが、「恐怖と笑いは紙一重」という文章を目にしたことがある。この『ヘッケルの死霊』の場合、その紙一重を破り、笑いの方面にまでいってしまってのではないかと思われる。あのオチに到着するまで、上品なゴシックホラー風だっただけに、余計妙な印象が目立つ……しかし、撮った側は、おそらくあのオチこそがやりたかったのだろう。演じている皆さんも、ノリノリだった。
おそらくは百年ほど前のアメリカ。死者を蘇らせる力があるという老女のもとを、ある美貌の青年紳士が訪れる。最愛の妻の葬式からそのまま来たという彼は、妻の蘇生を依頼する。だが老女は断り、医学生ヘッケルの話を聞かせる。
ヘッケルは科学的に死者の蘇生を試みようとする医学生。フランケンシュタイン博士の話に憧れを抱くものの、彼自身の実験は失敗が続いていた。ある日、重い病に倒れた父の話を聞いた彼は、実家に戻るために旅をすることとなる。中途、雨の中、彼は墓地裏の農場に住む老人の家に招かれ、夜を明かすこととなった。家には、老人とはあまりにも不釣り合いで若く美しい妻エリーズがいた。ヘッケルはエリーズに一目で魅惑される。窓の外をしきりに気にしているエリーズと、老人はなにか暗い秘密を抱えているようだった。
ラスト五分の一にさしかかったところで、作風は唐突にゴシックからエキセントリックへと変わる。上品という言いかねる結末だが、ストーリー展開は十分に面白く、「どんな展開になるんだ」と見る側をどきどきさせる力はあり。
なんとも奇妙な冥婚譚だった。
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