バーン・アフター・リーディング/イーサン・コーエン、ジョエル・コ
久し振りに映画館で映画を見る。
イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン監督『バーン・アフター・リーディング』。
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2009/09/11
- メディア: DVD
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『ノー・カントリー』の反動なのか。彼らの新作はおそろしく頭の悪い、そして意地の悪いクライム・コメディだ(この兄弟の十八番の一つ)。
アルコール中毒で原因でCIAを馘首された情報分析官オズボーンと、連邦捜査官であり、オズボーンの妻ケイティとの不倫を重ねるハリー、オズボーンのCD-ROMを手に入れ、オズボーンへの脅迫を試みようとする男女、チャドとリンダ。と書くとなにやらシリアスそうな印象を与えるが、この面々の中で、もっともまともなのがオズボーンである。アルコール中毒であるにも関わらず。ハリーは妻と別れる気などまったくなく、出会い系でケイティ以外の女も漁っている、しょうもない色事師。チャドとリンダはスポーツジムで働いているのだが、チャドは脳みそまで筋肉が詰まったお馬鹿さんで、無駄に事態をかきまわしていく。リンダが脅迫に及ぶ理由は、全身整形のために金銭が欲しいから。
右を見ても左を見てもトホホな人物が揃っているが、後半の展開は無駄にシリアス。おおもと不幸になっても仕方のない人々の中で、笑えない、やけに哀れな結末を迎えた人が一人だけいる。妙な表現になるが、ジャンルがブラックコメディであることを考えても、そのブラックさの趣味が悪いと感じられる。いま一つならぬ、いま二つといったところ。