FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

桃のデザートには隠し味/リヴィア・J・ウォッシュバーン

桃のデザートには隠し味 [お料理名人の事件簿1] (RHブックス・プラス)

桃のデザートには隠し味 [お料理名人の事件簿1] (RHブックス・プラス)

 同じランダムハウス講談社から出版されているコージー・ミステリのシリーズ、カレン・マキナニー『注文の多い宿泊客』を読んだときと、驚くほど印象が似ている。
 設定がびっくりするほどありがちなであることと、突き抜けた部分はまったくないが、そこそこ面白いという点で、似通っているのだ。
 フィリスは六十代後半の未亡人。元歴史教師で、定年を迎えた教師ばかりが集まる下宿屋のオーナーだ。彼女の住むウェザーフォードは、アメリカのテキサス州にある小さな町。桃の名産地である、のどかな田舎町だが、軍の基地が近隣に存在するので、頭上を戦闘機が飛んでいくことがままある。フィリスは料理名人で、恒例のピーチ・フェスティバルで行われる料理コンテストでの優勝を目指し、必死にレシピを考えていた。
 フェスティバルの前、桃の果樹園のオーナーが不審な死を遂げた。そしてフェスティバルの最中、(料理名人を主役とすると必ず一度はある、お馴染みの展開として)彼女の作った料理を口にしたものが死ぬ。そして疑いを晴らすため、また好奇心が赴くまま、フィリスは調査を始める。
 なんだか微妙な感想になるが、ものすごく面白いわけではなく、かといってつまらないわけでもないコージー・ミステリ。フィリスの、年長の友マティが老い、かつての自分を見失っていくことへの哀惜などはよく書けている。

注文の多い宿泊客 (ランダムハウス講談社文庫)

注文の多い宿泊客 (ランダムハウス講談社文庫)