FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

虎の首/ポール・アルテ

虎の首 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1820)

虎の首 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1820)

 犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズ最新作。
 インド魔術!
 密室殺人事件!
 といつもにも増してディクスン・カー風の作品である。
 休暇帰りのアラン・ツイスト博士の鞄に詰められていたものは、女の死体。奇しくも田舎の村レドンナムで、そしてロンドンで女のバラバラ死体の話を聞いたばかりだった。どうやら誰かさんがツイスト博士のスーツケースと、自分のそれとを入れ替えたらしい。
 やがて彼の調査は奇妙な連続盗難事件と、そしてインドの魔神とが絡んだ密室殺人事件へとつながっていく。複数の男女のロマンスも絡む。
 可もなく不可もなく。自分で読み返しても実につまらない感想だと思うが、彼の傑作『狂人の部屋』と比べれば、水準より多少面白いぐらいの作品では可もなく不可もなくといった印象になってしまう。
 この作品で特筆すべきはラストシーンでの、ツイスト博士のふるまいである。なかなかえぐい結末で、やや小粒だった作中のどのトリックよりもインパクトがあった。