幻影師アイゼンハイム/ニール・バーガー監督
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十九世紀末、ウィーン。ある町で一人の少年と少女が引き裂かれた。幼馴染みの二人を引き裂いたのは身分の差。少女は公爵令嬢、少年はその家に雇われた一介の家具職人の息子だったから。やがて、いくらかの年月が過ぎ去ったとき、二人は再会する。少女は皇太子レオポルドの婚約者ソフィとなり、少年はウィーン中を騒がせる魔術師アイゼンハイムとなっていた。
舞台が世紀末の欧州、また主役の男性の職業が舞台で活躍する奇術師である点から、クリストファー・ノーラン監督『プレステージ』みたいなお話を連想したが……見終わってからの感想はネタバレになるから内緒。だが『プレステージ』に劣らぬ、美しい、良き作品だった。
再び燃え上がるアイゼンハイムとソフィーの恋、狡猾で悪辣な皇太子レオポルドの陰謀、アイゼンハイムに友情と好意を抱きつつ、出世のため内心を殺して皇太子に従うウール警部、それぞれ、典型的でありながらばっちり決まったキャラクター配置で、ドラマを巧みに盛り上げている。「ラストはミステリで落とすのか、それとも幻想で落とすのか」不思議に思っていたが、最後の最後でこうきたか。ご都合主義と感じないこともないが、これはこれでオーケーだろう。
楽しめた。傑作。
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