キプロスに死す/M・M・ケイ
キプロスに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 108‐2))
- 作者: M・M・ケイ,山本俊子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1986/01
- メディア: 文庫
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M・M・ケイのロマンティック・ミステリの第二作。舞台が欧州であるためか、前作ほどの人種差別の臭みは感じさせない。ただしその分、迫力も薄れている。
若き女性アマンダは早くに親を失い、大富豪の伯父デリントンとともに世界旅行へと出かけた。中途、伯父の監視の目を逃れてのびのびと旅をするために、単身キプロスへと出かけたジュリアは、船旅の中で知人の死に出くわす。その死はどうやら殺人のようだったが、「このままでは自分が疑われる」という理由で、証拠があることを隠し、彼女が殺人であることを誰にも打ち明けないアマンダ&それを助ける画家ハワード(……)。アマンダはキプロスについてから殺人事件に巻き込まれ、自分自身恐ろしい目に遭わされる。
うん、いくら保身とためとは言え、死んだ人間が嫌いだとは言え、やっていいことと良くないことがあるからね、アマンダ。その後に君とその彼氏がいくらトラブルに巻き込まれようが、自業自得としか思えないからね。思わず本に向かって突っ込みたくなる。
ロマンティック・サスペンスを名乗っているにも関わらず、主役の男女に魅力がないのは致命的な欠陥である。白人優位、その他色んな差別描写に頭が痛くなるものの、総じて前作『ケニアに死す』の方が面白かった。華やかな風景描写が楽しいと言えば楽しい。