FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

キプロスに死す/M・M・ケイ

キプロスに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 108‐2))

キプロスに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 108‐2))

 M・M・ケイのロマンティック・ミステリの第二作。舞台が欧州であるためか、前作ほどの人種差別の臭みは感じさせない。ただしその分、迫力も薄れている。
 若き女性アマンダは早くに親を失い、大富豪の伯父デリントンとともに世界旅行へと出かけた。中途、伯父の監視の目を逃れてのびのびと旅をするために、単身キプロスへと出かけたジュリアは、船旅の中で知人の死に出くわす。その死はどうやら殺人のようだったが、「このままでは自分が疑われる」という理由で、証拠があることを隠し、彼女が殺人であることを誰にも打ち明けないアマンダ&それを助ける画家ハワード(……)。アマンダはキプロスについてから殺人事件に巻き込まれ、自分自身恐ろしい目に遭わされる。
 うん、いくら保身とためとは言え、死んだ人間が嫌いだとは言え、やっていいことと良くないことがあるからね、アマンダ。その後に君とその彼氏がいくらトラブルに巻き込まれようが、自業自得としか思えないからね。思わず本に向かって突っ込みたくなる。
 ロマンティック・サスペンスを名乗っているにも関わらず、主役の男女に魅力がないのは致命的な欠陥である。白人優位、その他色んな差別描写に頭が痛くなるものの、総じて前作『ケニアに死す』の方が面白かった。華やかな風景描写が楽しいと言えば楽しい。