処刑人の秘めごと/ピーター・ラヴゼイ
- 作者: ピーターラヴゼイ,Peter Lovesey,山本やよい
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
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『偽のデュー警部』や『マダム・タッソーがお待ちかね』はラウゼイの代表作というにとどまらず、現代の本格ミステリを代表する傑作だった。しかし才人の彼と言えども、あれほどの作品を次々と世に放つことができるわけではない。分かってはいるが、最近の「ミステリとしてのアイディアの良さではなくて、ストーリーテリングの巧みさで読ませるよ」タイプの連投はちと厳しい。今回はサイコ・サスペンス風である。
最愛の妻ステフを失い、数年が過ぎた。そんなダイヤモンド警視の前に、奇妙な求愛者の女性が現れた。正体を示さず、姿を見せない。だがしつこく手紙や贈り物が届く。
連続首吊り事件に頭を悩ませるダイヤモンド警視は、一人の魅力的な中年女性と知り合う。当然読者にはうさんくさく感じられるこの女性と、ダイヤモンド警視はいい仲になっていく。
「この話の流れなら、こいつが犯人だろうな」という人間が犯人である。作者がラヴゼイでなけれぱ途中で投げ出していたかも。どうもここ最近のラヴゼイは物足りない。
訳者のあとがきで紹介されているヘン・マリン警部ものの二作目が楽しみである。