FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ザ・ダーク/ジョン・フォーセット監督

 良かった!とても風変わりな悪霊映画……といっていいのかな。
 大都会ニューヨークから、イギリスのウェールズ地方に向かうアデルとサラの母娘。海に面した、緑豊かなこの丘にはアデルの元夫でありサラの父親であるジェームズが住んでいる。
 三人は束の間の家族水入らずを楽しむ。思春期に差し掛かったサラの扱いが、アデルには日に日に難しくなっていくように感じられたが、丘でサラは屈託もなく楽しそうだった。だが悲劇は起きた。波にサラが攫われ、行方知れずとなったのだ。
 やがてアデルは見る。サラにそっくりな容姿を持つエブリルという少女を。彼女は、数十年も前、この丘で起きた集団自殺事件に深い関りを持っていた。そしてアデルはこの地方の伝承、「一人を差し出せば一人は帰ってくる」を聞きつけ、やがて正気を失っていく。
 丘の緑、海の碧と風景が圧倒的にきれい。羊の集団自殺、そして人の集団自殺のシーンは、恐怖美を感じさせる。その土地特有の伝説と、非業の死を遂げた少女の怨霊の組み合わせもいい。ゴースト・ストーリーにもこういったバリエーションがあつたのかと思わせる。
 陰気もいいところの作品だが、当方にはすごく面白かった。