FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ジーパーズ・クリーパーズ/ヴィクター・サルヴァ監督

 久しぶりに、変な映画を見てしまった。「とてつもない際物」との評判は聞いていたが、本当に際物だった。製作総指揮は巨匠フランシス・F・コッポラ。なぜだ。
 大学生の姉弟、トリッシュとダリー。休暇に入った二人はハイウェイをひた走り、実家を目指していた。道路で見かけた怪しいトラック。見た目だけでも相当いかがわしいのに、こちらを挑発するように走ってくる。姉弟は冗談交じりに、惨殺され首を持ち去られた男女の都市伝説を語り出す。彼らの生命を奪った殺人鬼は、きっとああいうトラックを操っているのだと。
 やがて二人は車窓からおぞましきものを目にする。例のトラックの運転手、姿をよく見極めることのできない黒衣の男が、井戸に向かってなにかを捨てている。シーツに包まれ、ロープで縛られ、血にまみれたなにかを。一度はやり過ごした二人だったが、まだ被害者(もし、井戸に捨てられたものが本当に……だったら)を助けられるかもしれないと考え、井戸の場所へと戻る。そこは荒廃した教会だった。ダリーは井戸を覗き込み、声をかける。それは二人が遭遇する惨劇の始まりだった。
 ここまで読んで
 「なぜ際物?まっとうなホラー映画じゃないか」
 思う人もいるかもしれないが、そう考えることができるのは前半までである。上記のくだりまでは、きちんと怖いのだ。だが途中のあるシーンで、誰もが目を剥くか、笑い出すか、もしくは怒り出すに違いない。ちなみに当方は乾いた笑いが込み上げてきた。なんじゃこりゃ。 この「なんじゃこりゃ」感はラストまで続く……映画が終わってさえ離れない。特にあのラストシーンはいつまで経っても忘れられそうにない。被害者には悪いのだが、笑っていいのか怒っていいのか、さっぱり分からなかった。中盤以降に出てくる某登場人物にも「なんじゃこりゃ」感はつきまとう。なんのために出てきたんだ、あんた。
 際物好きのための、際物映画。話のネタにはなります。