FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ビーコン街の殺人/ロジャー・スカーレット

ビーコン街の殺人 (論創海外ミステリ)

ビーコン街の殺人 (論創海外ミステリ)


 「密室二重殺人事件」の邦題で知られた、お館ミステリ好きにとってはたまらないロジャー・スカーレットのデビュー作である。
 だが……。
 いまひとつ、ぎこちない。ロジャー・スカーレットの正体たるイヴリン・ペイジ&ドロシー・ブレアのコンビの息がいま一つ合ってなかったのかもしれない。後の『猫の手』や『ローリング邸の殺人』に見られたような濃密な雰囲気、絡み合う人間関係の描写の深みも欠けている。
 ボストンの実業界、そして社交界で名を上げようとしていた株成金サットンが、パーティーの晩に殺された。傍らには客の一人が呆然と立ち尽くしており、そのものが犯人とされ、事件は簡単に片付くかと思われた。だがその容疑者もまた殺される。
 真犯人の造形に、後のスカーレットらしさがあるといえばある。ファンだけ読めばいい作品。
 残りは「白魔」!「白魔」!
 どこの出版社でも買うよ。