FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

本日のお買い物

 

みだら英泉 (河出文庫)

みだら英泉 (河出文庫)

 

 

ネット書店で買い物。皆川博子『みだら英泉』、図子慧『ラザロ・ラザロ 』。実は両方読んだことがあるのだが、ネット書店で見たら欲しくなって購入した。

 

ラザロ・ラザロ (ハヤカワ文庫JA)

ラザロ・ラザロ (ハヤカワ文庫JA)

 

 

ズートピア/バイロン・ハワード監督 、 リッチ・ムーア監督

 

 

 

 ディズニーである。『アナと雪の女王』以来、久しぶりにディズニーの作品に触れる。友人から「ミステリとしても楽しめる」と聞いて見たのだが、最初に出た感想が「紛れもない刑事もののミステリだな!」というものだった。謎と解決、捜査とその過程、そして相棒もの、ロマンスものとして登場人物(動物だけど)のやり取りが楽しめる。
 草食動物と肉食動物が共存した大都市ズートピア。ウサギ初の警察官としてズートピアに配属されたジュディは、田舎出身の優等生が初の社会生活でぶつかる辛酸を舐めつつ警察官として働いていた。周囲からの軽い扱いに憤慨していたジュディだが、肉食動物の連続失踪事件を知り、その一匹であるカワウソの夫人が警察署を訪ねてきたことから、力を貸すこととなる。署内で浮いている彼女が相棒としたのは、かつて彼女を騙した、キツネの詐欺師ニックだった。
 動物が人間のように暮らしているが、そのまま擬人化したわけではないことが、登場人物たちの見た目から分かる。ジュディはウサギ初の警察官なのだが、なぜ先達がいないかと言えば、ウサギそのものが非力で小さい種で、警官に向かないからである。 
 この見た目、有する能力などから来る差別や偏見、そこから生まれる犯罪とジュディは戦うが、その差別感情はジュディ本人の内側にも潜むものである、ということがとても上手に表現されている。

 ズートピアは決して理想郷ではないが、葛藤を乗り越えた先にある将来もまた清々しく描き出されている。
 伏線の張り方、なにより小道具(例のニンジン)の使い方はここ数年で見たどの映画より上手かった。
 これは傑作。

霧の島のかがり火/メアリー・スチュアート

 

 

 『霧の島のかがり火』は論争海外ミステリの中の一冊で、これは若い女性を主役とした、殺人事件を含む冒険の物語である。と書くといかにも、ビクトリア・ホルトやフィリス・A・ホイットニーと並ぶゴシック系ロマンスの名手メアリー・スチュアートらしい作品に感じられるが、物語の舞台が舞台だけに登山描写が出てくるのが珍しい。
 ちなみにメアリー・スチュアートは優れたファンタジー作家でもあり、アニメ映画『メアリと魔女の花』の原作は同じく彼女である。
 ファッションモデルのヒロイン、ジアネッタが休暇の旅で訪れたのはスコットランドの霧深い山岳地形の島スカイ島。地元の若い娘が儀式めいた方法で殺害され、同じ旅行客の女性も殺される。もちろんヒロインにも危機が迫る。
 ロマンス(それほど濃くない)、サスペンス(十分な濃度)がともに楽しめる一冊。もっとメアリー・スチュアート翻訳&復刊してくれ。

スプリット/M.ナイト・シャマラン

スプリット (字幕版)

 

 映画を見ていて久しぶりに眠り込んだ。ラスト四十分は見たが、最初からまた見直そうか迷っている。ああ、同じ監督の『ヴィジット』はあんなに面白かったのに。

 

d.hatena.ne.jp

 

 

奇想天外 21世紀版アンソロジー

奇想天外 21世紀版 アンソロジー

 

 『奇想天外 21世紀版アンソロジー』を購入し、ちびちび読んでいる。分厚い!

 記事の一つ「ミステリ映画マイナス10」を見ていて楽しい。三津田信三が挙げているトニー・ウィリアムズ監督『悪夢の系譜/日記に閉ざされた連続殺人の謎』が「お屋敷」プラス「謎めいた手記」の出てくるゴシックスリラー映画で面白そうだ。DVDが出ないものだろうか。

アメリカン・ゴシック 偽りの一族

アメリカン・ゴシック 偽りの一族 DVD-BOX

 

 今年はミステリ運がついているようだ。とても面白いミステリ小説をたくさん読むことができたし、ミステリ映画、ミステリドラマにも良質のものを多く見ることができた。この『アメリカン・ゴシック 偽りの一族』もその一つ。

 全12話、DVD6枚の続き物のミステリドラマである。

 最初は濡れ場の過激さが売り物のドラマかと思っていたが、最後に近付けば近づくほどミステリとして興味が増していく。明らかになった犯人、そして犯人を示す随所に張られた伏線、伏線とはまったく気づかず、目で見て耳にも入れていたのに、気にも留めず流してしまったあれらこれらに「ああ」と言わされる。

 

 オリオル・パウロ監督『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』も伏線の仕込みが良かった。

 

hachibinoneko.hatenablog.com

 

 

 さて『アメリカン・ゴシック 偽りの一族』である。

 アメリカ、ボストン。ボストンの富裕階層の人間を椅子に拘束して絞殺し、傍らにベルを置いて去る連続殺人鬼シルバーベルキラー(通称SBK)が人々を戦慄させていた。

 14年後。名家ホーソーン家。コンクリート産業で財を成してきた彼らだが、父が倒れ、14年失踪していた長男が戻ってくる。そして父は死に、様々な理由からホーソーン家の人々はSBK一家の誰かだったのではないかと疑われるようになり、また一家でも互いに互いを疑うようになる。

 そしてお約束通り、SBK再来のような殺人事件が起きるのだ。

 最後のあれはあってもなくてもいいが、満足度の高い作品。