FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ダンス・マカブル(上)/小麦畑

 久しぶりに心臓の真ん中を射抜かれたゴシックホラーゲームに出会った。
 異世界ファンタジー育成系ADVの傑作『冠を持つ神の手』や、和風ホラーゲーム『マヨヒガ』、『オシチヤ』などで知られるベテランのフリーゲーム製作者、小麦畑さんの『ダンス・マカブル』である(小麦畑さんの作品としては『デンシャ』がとてもいいと聞いているが、最後のご馳走として残している)。


http://wheat.x0.to/game/danceM/


 音響の使い方がうまい、ゴシックホラーのフリーゲームとして、ブリキの時計さんが作られた『クロエのレクイエム』(http://cloeslequiem.uunyan.com/)があるが、この『ダンス・マカブル』もうまい。おそらくは教会に関わる音楽が大半なのだろうが、悲壮さと荘厳さを演出している。そして鐘の音と、数多く集まり床を這うある動物のざわめき。ヒロインの、そしてプレイヤーの視界に不吉に広がる赤と黒。
 時代は明記されていないが、おそらくは中世ヨーロッパ。粉屋の娘であるアルエットは目覚めたとき、見知らぬ大聖堂の中にいた。なにも分からぬ彼女を力づけ導いてくれたのは、幼馴染にして愛する少年ラザール。そしてアルエットの前には、黒衣をまとい、奇怪な仮面を着けた男が現れる。この仮面の男を見ると、アルエットの脳裏にはなぜか恐ろしい光景が浮かぶのだ。
 アルエットを閉ざされた大聖堂から脱出させるゲームである。謎解きはちょうどいい難易度で、ENDは五種類。
 タイトルから、このホラーがどういった恐怖を描いているのか察しがつくむきもあろう。私はフス戦争を描いた大西巷一『乙女戦争』を読んだばかりだったので、仮面の男がどういった人物であるか確信が持てた。そう言えば彼もまた『ダンス・マカブル 西洋暗黒小史』という漫画を描いている。


当ブログにおける『クロエのレクイエム』の感想はこちら
http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20140706


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↑こちらにも中世の暗黒が描かれている↑同じタイトルの漫画。未読だ。