FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ダンス・マカブル(下)/小麦畑


 乙女アルエットを操り閉ざされた大聖堂から脱出させる、フリーのゴシックホラーゲーム、小麦畑さんの『ダンス・マカブル』(http://wheat.x0.to/game/danceM/)。音楽の使い方がうまいのもさることながら、画面の中のアルエットの動き、そして表情の変化も細かく美しい。
 さて、エンディングの感想を少し書きたい。
 なるべくネタバレにならないように書くが、このゲームはENDが五種類あるのだが、印象に残ったのは、END1とEND2である。
 この二つのENDがなぜ印象に残ったかと言えば、最後にヒロインが取る行動は同じだが、その結果起こりうるであろうことはまったく正反対だと思われるからだ。
 どちらのラストも、アルエットは「仮面の男=医師や、その愛犬と、人気の失せた故郷から旅立つ」という選択をするのだが、「END1では病が癒えたアルエットが、医師や彼の愛犬とともに同じ病の人々を救うために旅立つ」のに対し、「END2ではアルエットは病が、それも伝染病が癒えないまま、旅に出ている。そしてそれを同行する医師も容認してしまっている。きっとアルエットの行く先々では、人々が大勢死に、村や町、そして都市が廃墟と化すだろう」。
 この対称性、そして「END2 疾病の乙女」の醸す虚無感と絶望感はなんとも言えない。
 また検索して知ったことだが、ヒロインがさ迷う大聖堂の俯瞰図も素晴らしい。
 ホラーゲームのお約束の一つとして、追いかけっこがあるが、ありがたいことに難易度をプレイヤーが選ぶことができる。
 傑作。