長弓戯画 うさ・かめ事件簿/滝田務雄
- 作者: 滝田務雄
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/06/29
- メディア: 単行本
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滝田務雄、初の長編である。
ミステリとしての面白さは、≪田舎の刑事≫シリーズそのまま、登場人物の男女のSM的関係は、さらに度合が強くなっている(≪田舎の刑事≫シリーズでは、黒川刑事は少なくとも奥さんに肉体的には暴力をふるわれていなかった……)
肝心要のトリックについては、情けなくも「そんなものかな」と首を捻る程度だが、総合的に見て悪くない。
一人の学生が、和弓で射殺された。雑踏の中で、和弓の名手でなければなりえないような方法で。犯人はなぜ、こんな目立つような状況で、しかも犯人が限定しやすいようなやり方で殺人を行ったのか?
この謎に挑むのは美男だが、へたれた性格の少女漫画家のマーチ宇佐輝こと鹿野山宇佐輝と、彼いわく「意地が悪くて残忍なファザコンでチビのサイコパスなサディスト」、漫画雑誌編集者の小亀ミドリ。この二人が、というより鹿野山宇佐輝が、謎を解く。ミドリの父親が警察官なので情報を入れてくれるし、マーチ宇佐輝はやるときはやる男なのだ。
書いていて恥ずかしいほどありがちな登場人物設定だが、読みやすい。
そこそこの面白さ。シリーズ第二作を望む。