断頭島 ギロチンアイランド/フレイザー・リー
なにか気楽に読めるホラー小説を、という理由で購入した作品である。お国柄、あるいは出版社が狙った読者の対象の違いなのか、木崎菜菜恵『ラビット・ケージ 一年A組 殺戮名簿』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20170614)
のような感傷や湿り気を帯びた情緒はまったくないホラー小説である。
代わりに言ってはなんだが内臓の描写がわりと多いのでスプラッターが苦手な人は注意。
母国で貧しく惨めな生活を送っていた若い女性が、富豪が所有する南国の島での、きわめて気楽な仕事を手にいれる。ただし外部との連絡は一切禁止。始めた仕事は環境も含めて快適で、同僚であるボーイフレンドや同性の友人もできる。がホラー小説だから、当然罠が待っており、地獄が始まる展開になっている。
ヒロインがやたらうまい仕事を得てから、さて彼女を待ち受ける「地獄」となんだろう、金持ちたちのマンハント、土地の宗教の生け贄など色々と想像するが、黒幕の一人も含めてちょっとした意外性があるものである。
この邦題(原題は¨The Lamplighters¨、ヒロインが手に入れた「点灯員」という仕事のこと)だが、ギロチンは出てこない。