18の奇妙な物語 街角の書店/中村融編
名古屋創元推理倶楽部で、複数のメンバーから「中村融が編集したアンソロジーは面白い」と聞き、手に取った。そう言えば同じアンソロジストの『時の娘』が気になっていたけれど、まだ読んでいない。
『街角の書店』は、「奇妙な味」ものを集めたアンソロジーだ。さらに読むものに「奇妙味」とともに「後味の悪さ」を感じさせるものが多い。
ノーベル賞作家ジョン・スタインベックから異色作家短篇集(これぞ「奇妙な味」の傑作叢書ではないか)に名を連ねているシャーリイ・ジャクソン、そして不勉強ながら名前を知らない作家もたくさんある。
名前を知らなかった作家で個人的に面白かったのは、ミルドレッド・クリンガーマン「赤い心臓と青い薔薇」。そしてロナルド・ダンカン「姉の夫」。前者にはなんとも言えない不気味さがあり、後者には不気味さとともに一抹の哀愁も感じられる。
そしてもちろん表題作ネルスン・ボンド「街角の書店」。怖いけれど、この書店の本、読んでみたい。もちろんシャーロット・ブロンテ『暮色深まりゆく荒野』が読みたい。エミリ・ブロンテの本は置いてないのだろうか。
名前を知っている作家の作品を上げると、少年の名前は最後まで書かれないが、きっと皆様お分かりになるだろうロジャー・ゼラズニイ「ボルジアの手」。そしてこれがアンソロジーの中で一番面白かった、そして一番後味が悪かったイーヴリン・ウォー「ディケンズを愛した男」。きっとディケンズを愛した男は、主人公によって……されるのではないかという不吉な想像を掻き立てられるラストである。
アンソロジーを読んだのは久しぶりだが、良かった。
- 作者: R・F・ヤング他,ジャック・フィニイ,中村融
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/10/10
- メディア: 文庫
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