グレイストーンズ屋敷殺人事件/ジョージェット・ヘイヤー
これを言うとヒストリカルロマンスのファンから石を投げられそうだが、ジョージェット・ヘイヤーのロマンス作品を読んでも良いと思ったことがない。彼女がリージェンシーロマンスの草分けであると知っているにも関わらず。ヘイヤーに関しては、ミステリの方がずっと面白いと感じられる(ちなみにミステリの中に登場するロマンスは楽しめる)。
東京創元社から『紳士と月夜の晒し台』、『マシューズ家の毒』の二冊が出版されているスコットランドヤードはハナサイド警視シリーズである。この『グレイストーンズ屋敷殺人事件』原作ではシリーズ四作目。邦訳されていないが、東京創元社から出版されている二冊以外に、゛They Found Him Dead゛があるという。これも訳されるといいな。
クラシックなミステリファンにはお馴染みのお館ミステリで、当主が殺され、うさんくさい親戚および客人、使用人など容疑者が揃う。まことに優雅でのんびりとしたミステリで、邦訳されている作品の中での最高傑作『マシューズ家の毒』には及ばないが、これも十分に楽しめる。
訳者によるあとがきの最後の二行には蛇足の観あり。これも蛇足かもしれないが、犯人は違うと言いたい。
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- 作者: ジョージェット・ヘイヤー,猪俣美江子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/03/22
- メディア: 文庫
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