7人目の子/エーリク・ヴァレア
面白かった。
デンマークのベストセラーで、暗い過去が現在にまで影を及ぼしてくるタイプのミステリで、この展開が大好きな当方にとってはもろに好みの一冊だった。
かつて児童養護施設で暮らした七人の子供。里親に引き取られたり、あるいは他をたどったりして道はわかれ、そののちの境遇も様々だった。政府の中枢に近付いたものもいれば、落ちぶれたものもいる。
この養護施設で育てられた子供たちと、ある女性が殺された事件をめぐり、デンマーク国務省の大物から当の子供達までが大きく振り回される。国務省に届いた養子縁組申請書に書かれていた「ヨーン・ビエルグストラン」とは誰なのか。どの子だったのか。そしてどういう生い立ちだったのか、殺人事件とはなんらかの関係があるのか。
登場人物がわりと多いにも関わらず書き分けができていないとか、ストーリー展開が遅いとか、短所はあるが、この重い感じは嫌いではない。
秀作。