いらない子ゲーム(1)
フリーゲームの紹介です。長いので、二回に分けます。
「ぞんびすたいる(旧したいがぁるくぅ)」(http://zombiestyle.blog.fc2.com/)さんが作られたサスペンスノベル。
「ごく普通の生活を送る男女が、いきなり生死をかけたゲームに巻き込まれる」といういまやありふれて、ありふれて、ありふれてどうしようもない設定を使っているにも関わらず、よく読ませる。また登場人物が十九人と多いのだが、書き分けもなかなかよくできており、F1を押すことにより、いつでも登場人物の情報が確認できるという工夫にも好感を抱く。またグラフィックが実に美しい。
ほとんど唯一にして最大の欠点は、黒幕がまるわかりのことだろうか。多分六割以上の人が正解を言い当てそうだ。
もう一つ、後述のゲームの敗者の処刑が斬首、火炙り、釜茹で、鉄の処女など、どれも惨たらしいもの(銃で急所を撃たれ、短時間で死ぬのがもっとも楽な死に方)で、描写も詳しいので、サスペンス耐性があっても、ホラー耐性がないときついと思う。
格安で高級リゾートさながらのホテルでのバカンスが楽しめると聞き、大喜びである土地に向かうサークルの大学生たち。実際に足を運んだ、ホテルは想像以上に豪奢で、彼らは狂喜した。
バーベキュー、水泳大会、思い切り夏を満喫する彼らだった。またそこでほかのメンバーのそれまで知らなかった一面を見たり、意外な人間関係が発覚したりする。
天国のようだった、数日後に全員が地下室に連れ込まれるまでは。
学生達は「いらない子ゲーム」という狂気のゲームに参加させられる。
彼らは一人一人地下にある小部屋に監禁され、互いに一切の相談はできない。その中で、メンバーの中から「いらない子」の一人の名前を書き出し、投票を強制させられる。
もっとも票を集めた人間は処刑される。
ちなみに誰の名前も書かず白紙で出すと、その人間が問答無用で殺される。
ゲームの数は、参加人数が一つ引いた数だけ行われる。最後まで生きていた人間達には、莫大な賞金が与えられる。
なんとも忌まわしいゲームだが、逃げ道はあった。同率一位の場合、その回は、犠牲者は出ないのだ。つまり全員がすべての回に自分の名前を書けば、全員が一位となり晴れて全員脱出できる。
しかしその作戦でうまくいったのは最初の数回だけだった。
次第に死者が出始め、メンバーは動揺し始める。