FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

インスブルック葬送曲/レーナ・アヴァンツィーニ

 同じドイツ語圏のサイコサスペンス、マックス・ベントー『羽男』はどこからどこまでありふれた内容だったが、それでも面白かった。しかし、オーストリアの同じくサイコサスペンスのこの『インスブルック葬送曲』は、ありふれた内容であるうえにいま一つだった。こういう比較はあまりよいものではないが、どこにでもある食材を使い、そこそこ美味しい一品に仕立てた『羽男』は大したものだった。
 オーストリアインスブルックで音楽を学んでいた妹イザベルが死んだ。妹の死に不審なものを感じたヴェラは、インスブルックで独自の調査を始める。同時に猟奇的連続殺人事件が発生し、チロル州警察首席捜査官ハイゼンベルクは捜査に当たる。
 あらすじと読者に与える感想は前述の通り。
 些末なことだが、作中で登場人物が口にする食べ物の固有名詞が本当に分からない。注釈がなければどんな食べ物なのか、まったく想像もつかず、自分がいかに英米のミステリにだけ慣れきっているか、驚かされる。あとはオーストリアに「警部」という役職がないと、ハイゼンベルクが語っているシーンがあり、それにもちょっと驚いた。