スノーマン/ジョー・ネスボ
生まれて初めて読むノルウェーのミステリ。
北欧諸国をスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランドと定義するならば、それぞれこの五ヶ国で書かれたミステリを少なくとも一冊以上読んだことになる。今更言うことでもないが、翻訳ミステリと言えば英米仏が中心の一昔前ならば考えらないような状況だ。
本作『スノーマン』はオスロ警察警部ハリー・ホーレを主人公としたシリーズ七作目である。第三作『コマドリの賭け』はランダムハウス講談社文庫から出版されていたが、未読だ。
主役ハリーは一匹狼タイプで、実力はあるが組織からはみ出している男性、というありふれたものだ。女性達が謎めいた失踪が続いており、やがてそれらの死体が発見され、ハリーの元に<雪だるま>ことスノーマンと署名された謎めいたメッセージが送られる、というストーリーはありふれたサイコサスペンスもののようで、違う。
捜査は二転も三転もする。容疑者が現れては消え、また別の容疑者が現れる様子が本格ミステリを思わせて圧巻。真犯人の正体とその動機という着地も決まった。
これほど面白いとは思わなかった。ネスボのみならず、他のノルウェーのミステリにも期待がかかる。
最後になるが作者ジョー・ネスボは小説家、ミュージシャン、サッカー選手、ほかにはフリージャーナリストや株式仲買人という実に多彩な顔を持つ人物。