FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

奇跡は聖なる夜の海辺で/リサ・クレイパス

 本は薄い。
 しかし、内容は薄くないので大丈夫。
 サンフアン島の美しい海沿いの街を舞台にした”フライデー・ハーバー”シリーズ1作目。リサ・クレイパスとしては数少ないコンテンポラリー(現代を舞台にしたロマンス小説)。
 シングルマザーだった妹の遺児を引き取ることになった男性と、最愛の夫を癌で失い、人を愛することに臆病になった若き未亡人の恋愛を描いており、クレイパスお得意の華やかさや官能描写は控えめで、地味だが心温まる作風となっている。
 ロマンスに限らず、エンターテイメントに動物(ペット)を出すと、物語のあざとさがでがちだが、ヒロインのペット、このうえなく不細工であるにも限らず、自分が他人から愛されると信じて疑わないブルドックはやはり可愛い。ちなみにこのブルドックは尻尾がないので、嬉しいことがあると尻をふる。
 やや古風で、良きロマンス小説だった。