静かな水のなかで/ ヴィヴェカ・ステン
- 作者: ヴィヴェカ・ステン,三谷武司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/11/08
- メディア: 文庫
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スウェーデンで大人気のシリーズ第一作。
すでにテレビドラマとして映像化されているという話だが、確かにとてもドラマ化しやすいタイプの作品だ。好感度の高い主人公達(しかも家庭の中でトラブルあり)、風光明媚の舞台、陰惨過ぎない殺人事件、そして主人公達の危機がもたらすスリルと、楽しめる犯人当て。
ちなみにこれは決して、作者と作品を貶めようとしての言葉ではない。私を含めて、一定の読者を確実に愛されるタイプのミステリだ。
おかしな例えかもしれないが、アガサ・クリスティーやポーラ・ゴズリングの諸作品から、コージーの要素を薄めて、もう少し堅苦しくし、警察小説寄りにしたら、この『静かな水のなかで』のような作品になるのだろう。
恋愛関係ではなく、友人関係である男女の幼馴染コンビ、警察官の男性と、法律家の女性が主人公だが、今回は警察官トーマスのその同僚達の活躍が目立つ。
リゾート・アイランドで見つかった死体。長い間水に漬かっていたおかげで無残な様子となっていたが、身元は分かった。一度は事故かと思われたが、直後に被害者の親族もまた奇妙な死を遂げたことで、事件は一気に連続殺人事件の様相を見せ始めた。
あまりにこなれ過ぎていて、いま一つ新鮮味に欠けるのが欠点と言えば欠点だろう。2014年1月にはシリーズ第二作『閉ざされた環のなかで』が、2014年3月にはシリーズ第三作が早川書房から出版されるとのこと。楽しみである。