蒸気機関車と血染めの外套/アランナ・ナイト
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ヴィクトリア朝のスコットランドを舞台にした<刑事ファイロ>シリーズ三作目。この邦題ながら、蒸気機関車はあまり出てこない。ちなみにシリーズ第二作『エジンバラの古い柩』のラストで、私を含め多くの読者を驚かせであろうあの人も、出てこない。名前すら(……確かそのはず)やや拍子抜けした感じだった。
最後の最後で思わぬ爆弾を仕掛けてきた『エジンバラの古い柩』と違い、この『蒸気機関車と血染めの外套』は、第一作の『修道院の第二の殺人』と似ている。謎と解決が大人しすぎて、決してつまらないわけではないのに印象に残らないのだ。
エジンバラ市警察警部補ファロの義理の息子ヴィンスは医師。そのヴィンスの上司ケラーの妻で、ヴィンスの憧れの女性メイベルが失踪した。二週間後に血まみれのナイフとメイベルの外套が見つかる。
メイベルは殺されたのか。そうならば一体誰に。ファロとヴィンスは謎を追う。
良くも悪くも「まあまあ」という表現がぴったりの一冊。