FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ナイン・クイーンズ/ファビアン・ビーリンスキー監督

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 これもグレゴリー・ホブリット監督『真実の行方』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20130426)同様、良い評判は聞いていたが、これまで見たことはなかった作品。『真実の行方』同様、いやそれ以上に優れたミステリ映画だった。
 日本未公開のアルゼンチン映画で、正式なタイトルは、『NINE QUEENS/華麗なる詐欺師たち』である。
 正式なタイトルから分かるよう、詐欺師VS詐欺師VS詐欺師VS詐欺師VS詐欺師VS詐欺師……のコンゲームである。
 「ナイン・クイーンズ」はかつてプロイセンで製造されていた珍しい切手で、マニアの間では垂涎の的という設定になっている。もっともこの映画、最初は比較的ゆったりとしたテンポで進み、この九人の女王達ですらなかなか姿を現さない。
 小物の詐欺師ファンは、ガソリンスタンドで詐欺を働き、店の人間に捕まりそうになったところを、警官を装ったマルコスに助けられる。マルコスも詐欺師。この「詐欺師ミーツ詐欺師」の展開は、一日限定のコンビを生み出す。「ナイン・クイーンズ」を手に入れた別の詐欺師が見つかった、そして明日国外追放をされる切手の熱烈なマニアが見つかった。やがてマルコスの美貌の弟妹を巻き込み、切手と大金を巡る熾烈な、そして幾重もの騙し合いに発展していく。
 前半がのんびりとしたテンポだけに、後半の怒涛の展開に目を見張る。いくらなんでも手が込みすぎ、詰め込みすぎだと感じないでもないが、それも許容範囲である。最後の最後まで気が抜けない映画だ。
 グレゴリー・ジェイコブズ監督が、アメリカで『クリミナル』というタイトルでリメイクしているが、そちらはまだ見ていない。ファビアン・ビーリンスキー監督の四十七歳の若い死が惜しまれる。