恐怖ノ黒電話/マシュー・パークヒル監督
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『dot the i ドット・ジ・アイ』の監督ということで、見る前は、激しく不安だったこの作品。なにせ当方にとって、『dot the i ドット・ジ・アイ』は全くの失敗作であり、十年近く前に見たにも関わらず、いまだ怒りととも思い出すぐらいだ(そこまで言うと、ちょっと大袈裟かな)。
不安に思いつつも、世評がなかなか良いので手に取ってみた。なるほど、過大な期待は禁物ながら、ホラー映画としてはありふれたものではない題材を扱っており、楽しめた。
余談ながら、ジャウマ・バラゲロ監督『スリーピング・タイト 白肌の美女の異常な夜』と続けて、「嫌なアパートメント・ホラー」……こんなジャンルはあるだろうか……を鑑賞した。バラゲロ監督の方は、男の放つ恐怖が主体だが、パークヒル監督の作品は、女の発する恐怖に満ちている。
離婚問題のもつれから、ストーカーと化した夫から逃れるため、心機一転引越しをしたマリー。そのアパートには、古めかしい黒い電話があった。
ある日、その電話が鳴る。ローズと名乗った相手の女性は、不誠実な恋人に苦しめられていた。最初は単なる番号間違いだと考えていたマリーだが、次第にローズは不思議なことを口にするようになった。ローズは数十年昔の時代から、時間を超えて電話をかけているというのだ。狂人の戯言か、誰かの悪戯か、どちらかだと最初マリーは信じなかった。だが、次第にローズの言葉を信じざるを得なくなっていく。
奇妙な関係を楽しみさえしたマリーだが、やがて二人の友情には亀裂が走り、孤独な境遇のローズはマリーに執着し、自分が「マリーより過去に存在する」という特権を利用し、マリーを追い詰めていくのだ。
ローズが本当に過去の人間なのか、マリーとともに観客が疑う序盤から、マリーが攻撃を仕掛けてくるまでの流れもうまい。
もっと早く引っ越せとか、そもそも電話を撤去しろとか、突っ込みたいところは山のようにあるのだが、最後の最後まで画面に姿を一度も姿を現さない、もう一人のヒロイン、ローズは結構怖い。「違う時代にいる狂人」、「相手は自分に影響を及ぼすことができるのだが、自分の方では相手に手も触れることもできない」という恐怖の設定が秀逸。“ THE CALLER“ という原題をもっと活かした邦題をつけてくれていたならば、もっとポイントは上がった。
「シッチェス映画祭ファンタスティックセレクション」(http://www.shochiku.co.jp/sitgesfanta/) の中の一作品。
ホラー映画好きにちょいお勧め。
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