雪の女/レーナ・レヘトライネン
- 作者: レーナ・レヘトライネン,古市真由美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/01/11
- メディア: 文庫
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北欧ミステリの小ブームが続いているが、これまでなぜかあまり訳されることのなかったフィンランドのミステリがついに翻訳された。当方にはあまり馴染みのない国であるにも関わらず、あまりの読みやすさにびっくりした。そして表紙を見たとき、「もしかして、フィンランドの名門一族の間で起こる、お館ミステリ?」と期待したが、違っていた。館が舞台の一部ではあるし、フィンランドの知識層が関係者だが、テーマは現代的で社会的だ。
この『雪の女』、マリア・カッリオシリーズの邦訳としては第一作だが、シリーズとしては四作目。本作ではマリアは警察官なのだが、その前は警察官兼学生だったり、臨時の治安執行官だったり、「警官一筋」ではない点がユニークである。そしてコージーミステリのヒロインのごとく、マリアの近辺では常に事件が発生し、周囲の人間が巻き込まれ、マリアは捜査に挑むのである。
今回も、少女時代から敬愛する高名なセラピストが殺され、彼女の親しい人間や、開いていた講座の受講生が疑われる。マリア自身は新婚の夫と幸福な私生活を堪能しているが、セラピストと講座に参加している女性たちは様々な事情を抱えていた。
謎解き部分がやや軽い感じもするが、そこそこ面白かった。フィギアスケートのスターの少女が殺されるという次回作(http://www.webmysteries.jp/topic/kakushidama2013.html)も楽しみだ。