靄の旋律/アルネ・ダール
- 作者: アルネダール,Arne Dahl,ヘレンハルメ美穂
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/09/20
- メディア: 文庫
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スウェーデン、国家刑事警察特別捜査班のメンバー達を主役としたスウェーデンの警察小説のシリーズ第一作である。杉江松恋の解説にもあるよう、謎解きの要素も大きく、おかげで 警察小説が苦手な当方が読んでも、とても楽しむことができた。
主たる舞台はスウェーデンだが、刑事が聞き込みに出張するため、エストニアなど近隣の国家も出てくる(北欧やバルト三国の言語のどれほど違いがあるのか分からないが、このミステリで刑事達が使う共通言語は英語だ)。
むろん現代の北欧ミステリには、大抵陰を落としている移民問題も重大なテーマの一つとして扱われている。
バブル経済崩壊後のスウェーデン。スウェーデン実業界の大物が立て続けに殺されていく。その武器と処刑方法は、マフィアのそれを連想させた。問題児ばかりを六人集めた国家刑事警察特別捜査班が、捜査を始める。結果、実業家たちはあやしげな秘密結社に出入りしたり、表には出せぬ性的傾向を持ち合わせていたりしたことが分かった。
メンバーの造形はありがちだが、前述の通り、謎解き部分が良い。個人的には、「なぜこの犯人が、この武器で」という真相には「ああ」と声が漏れた。
二作目の邦訳が待たれる。