FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

迷宮の淵から/ヴァル・マクダーミド

 

迷宮の淵から (集英社文庫)

迷宮の淵から (集英社文庫)

 ヴァル・マクダーミドは同じくノンシリーズものにして、やはり同じく「過去の罪は長い尾を引く」タイプの『過去からの殺意』が面白かったので、こちらも相当期待していたのだが、期待値が高過ぎたのか、読んだ印象はいま一つ、いやいま二つほどだった。つまらなくはないが、ものすごく面白いということもない。
 二十年以上も前に起きた、スコットランド富豪の娘、及び彼女が産んだ赤子の誘拐事件。この事件は結局解決されず、犯人は捕まえられず、娘と赤子の行方はいまだ分からなかった。
 同じく、二十年以上も前に起きた、スコットランドの一介の炭鉱労働者の失踪。彼の失踪は自発的なものとされており、やはりいまだ行方が分からなかった。
 この二つの事件を追うことになったのは、未解決事件再捜査班の警部補カレン・ピーリー。ほどなくして、彼女はこの二つの事件の繋がりに気付くのだ。
 長い話なのに真相がかなり分かりやすく、そして「真相があまりにもありがち」という欠点を覆すほどの美点が見当たらないのだ。
 ページ数が多いわりには読みやすいのだが、他の作品群が程度の差はあれどれも面白いのだが、本書ももう少し頑張ってほしかった。

過去からの殺意 (集英社文庫)

過去からの殺意 (集英社文庫)