ゴーストライター/ロマン・ポランスキー監督
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こういう映画が、「目新しい素材はなにもないが面白い映画」と言えるのだろう。
どんなに才能のないゴーストライターでもその生涯を書くときに材料が不足することはないであろうほど、数奇な運命を辿った(一部はみずから歩んだ)映画監督、ロマン・ポランスキーの傑作である。
とにかく美しい。冒頭のロンドンでの出版社のシーンから、アメリカ東海岸の孤島の嵐や小雨の場面、そして衝撃のラストまで、どこを切り取っても風格と洗練がともに感じられ、しかも独特の緊張感が漂っている。
英国の元首相アダム・ラング自伝のゴーストライターを依頼された一人の男。本来ゴーストライターを務めていたのは別の人物だったのだが、その前任者はラングが滞在する孤島で、自伝を執筆している途中に溺死したという。
乗り気ではないまま、アメリカ東海岸の孤島に向かい、館でアダム・ラングとその美しい妻ルースと顔を合わせるゴーストライター。アダム・ラングは、アメリカが中東を攻撃した際、アメリカにある形で協力しており、その罪で戦争犯罪者として裁かれるかいなかの危険な立場となっていた。やがて、主人公は前任者の死に不審なものを感じ、一人で調査を始める。
ジャンルとしては英国の暗部に関わる政治スリラーだが、この分野が苦手な当方にも大変楽しめた。物語の大半は、陰鬱な天気に支配された孤島、そこにたたずむ館の中で静かに進むので、ゴシックスリラーの雰囲気もある。中途、ゴーストライターがカーナビに誘導されるくだりから、ラストシーンまでは本当に惹きつけられるものがあった。
原作はロバート・ハリス『ゴーストライター』だが未読。
政治スリラーは苦手でも、ミステリ映画が好きならぜひ。
ロマン・ポランスキー監督のWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC
- 作者: ロバート・ハリス,熊谷千寿
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