FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

シンドロームE/フランク・ティリエ

シンドロームE(上) (ハヤカワ文庫NV)

シンドロームE(上) (ハヤカワ文庫NV)

シンドロームE(下) (ハヤカワ文庫NV)

シンドロームE(下) (ハヤカワ文庫NV)

 上映される先々で、流血と暴力が発生する映画と聞き、当方が想像するのは、ジョン・カーペンター監督『世界の終わり』だ。
この『シンドロームE』に登場する短編映画を見たものは、あるものは失明し、あるものは殺されて脳髄と眼球を抜き取られ、そしてあるものはひどい暴力性を帯びて犯罪加害者となる。
 『死者の部屋』のリューシー・エヌベルと、『タンタロスの審問官』とその続編『七匹の蛾が鳴く』のフランク・シャルコ、二人の捜査官が共演する作品……と偉そうに書くが、『タンタロスの審問官』と『七匹の蛾が鳴く』は読んだことがない(作中のフランク・シャルコの描写から察して、とても暗いサイコサスペンスなんだろう)。
 リューシーとフランク、二人はこの映画の持つ秘密とその創造者、そして連続殺人犯人を追うため、本国フランスはもちろんエジプトやカナダまで出張し、犯罪と戦う。
 地理的、そして歴史的にスケールの大きく、そして陰惨なサスペンスである。フランス産だが、ハリウッドで金銭をかけてゴージャスに映画化されても似合いそうだ。
 このラスト、カミラ・レックバリの『悪童』ばりにひどく気になるのだが、続編、無事に翻訳されるんだろうか。

死者の部屋 (新潮文庫)

死者の部屋 (新潮文庫)

七匹の蛾が鳴く (ランダムハウス講談社文庫)

七匹の蛾が鳴く (ランダムハウス講談社文庫)

タルタロスの審問官 (ランダムハウス講談社文庫 テ 1-1)

タルタロスの審問官 (ランダムハウス講談社文庫 テ 1-1)