FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ザ・ショック/マリオ・バーヴァ監督

ザ・ショック [DVD]

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 設定だけ聞いてみると、とても自分の嗜好に合いそうな感じなのに、実際に触れてみると、さっぱり面白くない創作物というものが存在する。この『ザ・ショック』もその中の一つだ。
 イタリア郊外の古い屋敷。美貌の人妻ドーラは、息子マルコや再婚の夫ブルーノと引っ越してきた。実は、ここはかつて彼女がマルコや、前夫、麻薬中毒患者のカルロと暮らしていた家だった。七年前、そのカルロが自殺するまで。
 やがてこの家で、新しい家族と始めた新しい生活に、少しずつヒビが入っていく。幼いマルコは異様なふるまいを見せるようになり、ドーラの前に幾度となくカルロの幻影が蘇り、彼女は精神的に追い詰められていく。
 それはドーラの神経衰弱のためか、あるいはマルコの新しい父への嫉妬なのか、あるいは本当にカルロの亡霊が存在しているのか、判然としない。
 家族が新しく家に入り、ドーラが大きな手の彫刻をクッションの間に見つけ、思わず恐れおののく……という幕開けまでは良かったのだが、あとはすごく単調な物語だった。
 とにかくストーリー展開が間延びしており、幼い男の子の奇妙な行為と、ドーラの心のかかる圧迫を、ただひたすらだらだらだらだらと繰り返すのみの話で、起伏というものが一切存在しない。オチも凡庸きわまりないだった。
 「幽霊屋敷」映画が大好きな当方でさえ、思わず首を傾げたくなるような出来だ。
 家もヒロインもきれい(アーシア・アルジェントの母親、ダリア・ニコロディだ)なので、内容の面でもっと頑張って欲しかった。
 残念な一作。