FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

殺す女/ウェイン・バーカム

殺す女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 26-1)

殺す女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 26-1)

 想像していたよりずっと面白かった。
 幼女ラッキーの前で、飲んだくれの父親ポールが母親を殺した。父の脅しにも負けず、ラッキーは警察に真実を話し、ポールは逮捕された。だがラッキーにとっても、ポールにとっても、事件はそれで終わったわけではなかった。
 二十一年の月日が流れたとき、美しく成長したラッキーは名前を変え、男達を手にかける連続殺人鬼となっていた。出所したポールは、娘の居場所を求めてさ迷う男になっていた。この父娘に、ラッキーが犯した猟奇的な殺人事件を捜査する刑事フランクが絡む。フランクの眼前に現れる女性のうち、誰がラッキーなのか。
 一つ一つの章は短く、場面の展開は早い。雰囲気もゴージャスで華やかだ。ロマンスとグロテスクな殺人というサービス要素も多い。ネタバレに最大限気を使ったならば(例えば、殺人場面でラッキーの顔だけ映さないとか)、百分ぐらいのいいミステリ映画になりそうだ。
 久しぶりにサイコ・サスペンスを読んだが、大満足の一冊。