FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

禁断のブルー・ダリア/ノーラ・ロバーツ

禁断のブルー・ダリア (扶桑社ロマンス)

禁断のブルー・ダリア (扶桑社ロマンス)

 ロマンスの女王として名前は知っていたものの、読んだことのない作家だった。このガーデン・トリロジーというシリーズ、「ゴシック小説としての淡い要素もあるよ」と聞いて読んだのだが、本当にそれは淡い要素のみだった。しかしロマンス小説として素直に面白かった。
 舞台はアメリカ南部。飛行機事故で夫を失い、二人の幼い息子を抱えて若きシングルマザーとなったステラ。生まれ故郷の南部テネシー州メンフィスに戻った彼女は、名家ハーパー家が経営する園芸センター<イン・ザ・ガーデン>でマネージャーとしての職を得る(園芸センターのマネージャーはステラの前職だった)。職場が近いため、ハーパー家、いや豪邸ハーパー邸に息子達と住み込むこととなった彼女は、庭園ローガンと恋に落ちる。
 ステラとローガンの恋愛はこれといった障害もなく、割合素直に進展していく。そしてこの二人のロマンス以外の要素、ハーパー邸で暮らす人々の仕事や日常部分もきっちりと書かれている。
 ゴシック小説としての要素は、何代か前のハーパー家に絡んで非業の死を遂げた女性がおり、その亡霊が今でもハーパー邸をさ迷っている箇所だが、あまりおどろおどろしくは書かれていない。もっともこの女性の謎については今回は完璧には明かされず、次にも持ち込まれるらしい(三部作だから、最後の作品ですべて明らかになるんだろうか?)
 ゴシック小説としての要素が弱いのが個人的に残念だったが、初めて読んだノーラ・ロバーツ、悪くはなかった。もっと他の作品も読んでみたい。